バスプロデビュー琵琶湖編の続きを
何も考えていないに等しい私が挑戦した琵琶湖という広大なエリアでは、現実という過酷な世界を私に叩き付けた。
そして、ただただ戸惑うばかり…。
車で気絶していた私が空腹の余りに目が覚めたのは午後10時頃である。
真っ暗なレンタルボート屋さんの駐車場である。
「あれ?寝て(気絶)たのか?腹が減ったなぁ…何か食べたいけど何か店は開いているのか?」
曖昧な記憶を頼りに車を走らせてコンビニを見つけた。
カレーパンと弁当とコーヒーと1リットルか2リットルのジュース(ポカリかアクエリ)を買ってレンタルボート屋の駐車場に戻る。
汗を掻き風呂にも入りたかったが何処にあるのか分からないし、疲労し過ぎて入る気力もない。
駐車場で一人弁当を食うも美味しくもない。
何だか涙目になる。
真っ暗な湖上を見ながら明日は何処で釣ろうか等を考えるが何も浮かばない…。
ただ、ラインブレイクしたバスの事が気にかかる…。
「凄かったなぁ〜」
そして頭に浮かぶもう一つの事は・・・
「みんなは、広大なエリアの何処で釣っているのか?」
「何を使って釣れるのか?」
「どうして釣れる場所がわかるのか?」
「どうやって見付けるのか?」
疑問ばかりが頭を駆け巡る。
気が付けば車の後ろで無理な格好で寝ていて目覚ましで起こされた。
そそくさとボートにタックルを準備していると声を掛けられた。
「オレは○○。昨日は5匹で5kgで、まあまあだったから今日も釣るよ」
「ああ、オレはSHINGO。始めての琵琶湖で散々だったよ…」
「だろうな。舐めてると釣れないぞ!!」
「舐めてはいないよ」
「オレは、関東から来て、プラは5日間やって、やっと見つけたパターンだけど上位に入るパターンではなかった…」
「5日間も琵琶湖で釣っているのか?」
「みんな練習をしてプラをして試合に臨んでいるんだよ」
「・・・」
「今日も暑くなりそうだから…頑張ろう」
「頑張ろう…」
関東から来たという選手が言った言葉が私の頭に突き刺さる。
「練習。プラ。パターン…みんながやっているがオレはやっていない…」
遅刻もなくスタート会場に行き皆の声に耳を傾けた。
「先週とパターンが違う」
「バスはサマーパターンに移った」
「まだ、アフターだ」
「ベイトが…」
「サイズが選べない」
私には理解できない話をしている。
そしてスタート。
続く。