バスプロまでの軌跡(奇跡)の続き
ひょんな事から知らない怖いおじさんと釣りに行く約束?をした19歳の初夏のSHINGOの運命は…。
「ぜってー来ない方に賭ける」
早朝真っ暗な2時30分に起きて足立区にある実家で準備をし、いざ出発という時に…、何かを感じて後ろを振り向く…100m程後ろに不審な軽バンが止まっているのに気が付く…。
「んー殺気を感じが…まさか後ろの軽バンが…まさか…しかしプレッシャーを感じる…急いで出発だ…(注・ニュータイプの為)」
この心の言葉が聞こえたのか、行き成りエンジンが掛かりこっちに車が来て真横に止まり…。
「おう、ココがそうか…おまえの地図じゅ、わからないんだよ」(注・わからなく書いたんだよ)
「来る気配がないから準備をして行こうかと思いましたよ…」
「おう、12時からそこに着いてチョッと寝てたんだよ」(注・そのまま寝ててくれー)
どうするオレ?
次の一言がオレの運命を変えた。
「だってよう、釣りに行けると思うと寝れないだろう…」
はははー…面白い人だ(この人物に一気に興味が沸く)。
こんなオヤジに殺されてもいいか…オレらしいかも(笑)
気持ちが楽になり
「そうっすね(笑)、同じっすね。じゃあ荷物乗せるから早く行きましょう」
「おう」
釣り場に着く間に様々な事をしゃべりましたが…。
釣り場に着くと“あさひなボートのおかあさん”がおじさんを見て絶句するのがわかる…。
何も説明しないで、手漕ぎボートの準備をして出撃。
2ヶ月前に入れ食いになった“オレのポイント(釣り場は誰のモノでもないのに…当時は心が狭かったなぁ…苦笑)”へ案内する。
状況が一変しているのが分かるが、どうすればいいのかが判らない。ただゲーリーグラブには反応がありポロポロと釣れる。
変なおじさんは、独り言で“あーじゃない”“こーじゃない”とブツブツ言いながら真剣に釣っている。話掛けても上の空である。
そして釣ると大騒ぎで満面の笑顔をオレに見せて自慢する。
「どうだ、コレ、スゲーだろう?スゲーよな…コレ(ルアー)がいいだよ…」
子供のように、はしゃぐ姿は微笑ましい。ただし、纏っているオーラはやく●である。
何匹か釣って話をする余裕ができたのかオレの顔を見て
「おまえオレが怖くないのか?」
「怖いよ」
「じゃあ何で付き合う?」
「だって釣りが好きなんでしょう、オレも好きだし何だかおじさんは面白いと思う」
「あぁ?オレが面白い?」
「んーーオレが気にいった」
「おまえは変わってるなぁ…」
「まぁ…」
そして、おじさんが自己紹介をした。
「オレの名前は高橋ってんだ、年は37歳、昔の仕事は言えないが今はトラック転がしている。趣味は釣りと女とギャンブルと酒。」
「オレはSHINGO。半端モノです。釣りが好きでブラックバスに夢中です…」
「おう、オレもイロイロな釣りをしたがブラックバスはスゲーよ、釣りは真剣だぜ、オレの釣りをバカにしたら殺すし、釣りができないなら死ぬ…まぁヨロシクなぁ…今度は何時釣りに行く?夜の権現堂に行こうぜ?釣れるぜぇ〜」
「え?夜でもブラックバスは釣れるの?」
そんな感じで高橋さんという人と出会い、昼夜問わない釣りを私と相棒と高橋さんでしました(笑)。
相棒も初めはかなりビビリ捲くりであったが気が付くと馴染んでいた…。
釣りに行き沢山の事がわかり、雑誌を見ては驚き、納得、疑問…釣りに行くという日々が続き年末を迎えた。
この時の私は陸ッパリでの釣りのが最高に楽しかったので、雑誌のボート釣りのコーナーやノウハウは、一切無視である。
しかも、よく釣れた。自己最高も45cm(注・現在の50アップ相当)で40アップは20本以上仕留めたし30cm台は200匹以上は簡単に釣れた。(注・時代が良かった為)
タックルボックスの“釣っちゃたもんコーナー”にも載ったし(笑)。
気がつけば高橋さんが会長になり『天邪鬼』というチームも作り、エンブレムを作り、ジャンバーも作り意気揚々でした。
知らぬ間に「オレ達は天才か?」という悪魔の囁きが聞こえて来るのもカウントダウンである。
続く